皮膚を診る(望診)
皮膚は全身の表にあり、いわば人体の垣根である。衛気はその間を循行し、内では肺臓に合す。外邪が体に侵入する時、皮表が真っ先に攻撃の矢面に立つ。また、臓腑気血の病変も経絡を通じて肌表に反映する。したがって望皮膚によって、邪気の性質、気血津液の盛衰、臓腑の虚実どなの病症を判断できる。
望皮膚の内容は、その色沢・形態・病症に分けられる。
<色沢>
主な皮膚の色沢は五色ある。
赤色
皮膚が丹に染まったように赤くなり、境目がはっきりし、局所が焼けるほど熱く感じられる、これを「丹毒」という。出る部位によって名称が異なる。
→熱毒や湿熱などの熱邪が原因である。
黄色
皮膚、顔面、白目がすべて黄色となるのは、黄疸であり、陽黄と陰黄に分類される。
黒色
黄色に晦暗を帯びるものは「黒疸」といい、肝腎不足に属する。房室(子宮)労損に由来する ものは「女労病」という。
白色
局所皮膚が硬貨大に白く脱色し、境界がはっきりするものは「白殿風」といい、気血不和 、風湿侵入、肝腎不足などが考えられる。
<形態>
臨床で常見される異常な形態としては、浮腫みと「肌膚甲錯(皮膚が滋潤を失いカサカサしている症状)」が挙げられる。浮腫みは、陽水と陰水に分けられる。肌膚甲錯は、瘀血によるものである。