中医学の<肺>
肺は宣発、粛降を主る
宣発は外、上に向かって発散すること。
粛降は内、下に下降させることを意味します。
肺は気や水を体全体へ送り、代謝されたものを下の腎や膀胱へ下降させ、大気中の清気を吸入し、濁った気を出すこと…体表で汗腺を開閉して体温調整をすることなどの働きをします。
●肺は気を主り、呼吸を司る
肺は大気の中の清気を吸入して気の生成に関与し、呼吸を行うことを意味します。
●肺は水道を通調する
肺が水分代謝に関係していることを意味します。
脾胃により運化された水を宣発・粛降の働きで全身に送り、一部を汗として外泄、代謝された排水を下方に降ろします。
●肺は鼻に開く、皮毛を主る
肺は鼻と経絡でつながっています。
皮膚も肺と関係が深く、宣発によって潤され、汗の調節をします。
●肺は体力、免疫、自律神経に関係する
肺の気(エネルギー)が乱れることによる原因は、体力の低下です。肺は最も体の表面に近く、体温や水分の調整を行っています。その働きは常に病などの外邪から体を守る免疫に大きな関わりを持っています。これらの調整は常に体内・体外ともにバランスを調整している自律神経系に関与し、そのバランスが乱れることによって体内へ外邪の侵入を許し病になってしまうと考えます。
【肺と関係が深い病気について】
中医学では肺の働きが乱れると、肺と呼吸器に関係する病が発生すると考えます。肺と関係の深い病は風邪、肺炎、気管支炎、喘息、肺気腫、慢性咽喉炎などがあります。また、肺は皮毛を主るため蕁麻疹や吹き出物、ニキビ、お肌の調子などの皮膚の病も肺から整えることによって回復させていきます。肺は鼻とつながっており、慢性鼻炎や花粉症、嗅覚などにも関係があります。
喫煙や副流煙、埃っぽさや空気の汚染は常に肺へ負担をかけ、体力・免疫の低下、自律神経の乱れの原因となります。