5つの要素
中医学ではその人の体に表れるさまざまな症状を総合的に見極め、病のタイプや場所、状態などをさぐり治療プランを立てる。例えば便秘にしても、水分が不足しているのか、熱がこもっているのか、古い血がたまっているのか、体力が低下しているのか、体質や病気(症状)のタイプによって処方が異なる。
陰陽五行論は、中国古代哲学の重要な概念で中医学の基本になっている。
長期間にわたり自然現象を観察して、この世の中に存在するすべてのものは「陰」と「陽」が対立しながらも互いに影響しあう二つの要素から成り立っている。陰陽関係は、対立する一対の組み合わせで起こるものであり、男性は「陽」女性は「陰」、太陽は「陽」月は「陰」、昼は「陽」夜は「陰」というように無限に組み合わされ、全ての事物と現象は陰陽の二つの面を含む。陰と陽は相互に対立し闘争しあい、また相互に資生し依存しあうという関係は、物質世界の基本原則であり、事物が発生し、消滅する原因であると考えている。
事物の運動と変化の原因は、陰と陽との対立闘争にあるばかりでなく、双方の相互依存と補助にもある。自然界の全て、とくに人類の生存に欠くことの出来ないものを、5つの要素から成り立っていると考えた。性質によって『木(もっ)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)』に分類し、この5つの要素の性質に、全てのものをあてはめ、関係づけ、これらが互いにバランスをとりながら存在していると考える。